「オフロード車」「クロカン」「4WD車」の本当の意味

自動車関連のWebサイトや雑誌などを見ていると「オフロード車」「クロカン」「4WD車」という単語がよく出てきます。
この言葉は、かなり昔から使われている言葉でそれこそ最近流行りの「クロスオーバーSUV」やその原型となる「SUV」などといった単語がまだなかった時代から使われていました。
しかしこれらの「オフロード車」「クロカン」「4WD車」という単語、どうやら最近ではかなり間違った概念で使われているようです。
ではその部分を解明していきましょう。
最近の「オフロード車」「クロカン」「4WD車」の使われ方
これは有名な自動車関連のWebサイトや古くからある自動車関連雑誌、素人の知恵の寄せ集めであるウィキペディアなどでもよくこういった使い方をされているのですが、「オフロード車」「クロカン」「4WD車」というものを・・・
- クロスカントリー4WD
- SUV
- クロスオーバーSUV
- クロスオーバーSUV風ワゴン車(なんちゃってクロスオーバーSUV)
といったカテゴリーの車の総称として、また代名詞として使うことが多くなっているようです。
意味合いとしては・・・
ということからこれらのカテゴリーの車を「オフロード車」「クロカン」「4WD車」という言葉で一括りにしたり、汎用的に言い換えるための都合のいい言葉として使わていることがわかります。
要するに・・・
- 車高が高い
- ロードクリアランスが豊富
- いかにもオフロードを走りそうなボディデザイン
- オフロード車らしいエクステリアパーツ・インテリアパーツ
- 自動車メーカーがオフロードのイメージを与えた販売戦略を取っている
- 販売戦略の影響でメディアも「オフロードを走る車」と取ってしまっている
などといった車全てのことを「オフロード車」とか「クロカン」とか「4WD車」と呼んだりしているということです・・・う〜ん、かなり大雑把ですね。
こうなる理由は簡単にわかります。
オフロード走行性能よりも、見た目や自動車メーカー側の販売戦略的な思惑を重視する傾向が強いことからその車が「本当はどういう車なのか?」ということを正しく判断することできず、そして判断ができていないままの人間が「その車をどう言った言葉で表現したらいいのか?」「適切な言葉は何か?」ということも全く分からないことから「オフロード走行向けの車である」ということを意味する既存の適当な言葉、「オフロード車」「クロカン」「4WD車」といった文言をいい加減にあてがったからです。
自動車関連のみならずいろいろな一般的な雑誌やWebサイトでも、「クロスカントリー4WD」や「SUV」「クロスオーバーSUV」「クロスオーバーSUV風ワゴン車の4WDモデル」のことをひとまとめにして「オフロード車」「クロカン」「4WD車」といった複数の単語で表しているようで、それが最近における世間一般的な「オフロード車」「クロカン」「4WD車」の概念であるようです。
再確認しておきますと・・・
- ●クロスカントリー4WD
- ●SUV
- ●クロスオーバーSUV
- ●なんちゃってクロスオーバーSUV
ということらしいです。・・・やっぱりおかしなことになっているようですね。
ちなみにこの部分は後で比較する時に使う大事なところですので、「間違った概念」として頭に入れておいてください。

業界内でも適当な扱いをされる「オフロード車」「クロカン」「4WD車」という単語
「オフロード車」という言葉の本当の概念

「オフロードを走るための車」であるクロスカントリー4WDモデル
「オフロード車」とは、その名の通り、オフロードを走る車のことですが、そこをもっと突っ込んで考えてみると・・・
「オフロードを走るための車」
ということになります。
「オフロードを走る車」という解釈ですとどの車もそこそこのオフロードであれば走ることができますので、それこそすべての車が「オフロード車」ということなってしまいますので、もっと厳密に狭義の意味合いとして「オフロードを走るための車」というべきでしょう。
オフロードを走るための車というのは、この世に販売されている市販車の中ではたった一つのカテゴリーに該当する車しかありません。
それが
「クロスカントリー4WD」
です。
クロスカントリー4WDは、道なき道を走るために作られた車(詳細は別ページ「SUVとクロスカントリー4WDモデルとクロスオーバーSUV」を参照)でまさに「オフロードを走るための車」にふさわしいものでしょう。
クロスカントリー4WDに近い存在である「SUV」も中にはクロスカントリー4WDレベルの高いオフロード走行性能を持っているモデルもあるため、ある意味ではオフロード車といっていいのかもしれませんが、SUVはあくまでも目的がアウトドアスポーツを楽しみに行くために使われる車であって・・・
「オフロードを走るための車」ではなく
「オフロードも走れる車」
「オフロードを走ることも求められる車」
であるため、厳密にいえば「オフロード車」には含まれません。
「クロカン」という言葉の本当の概念

クロスカントリー・トライアル競技に参戦中のクロスカントリー4WD
「クロカン」という単語はいわゆる短縮形で「クロスカントリー」、あるいは「クロスカントリー4WD」を略した言い方です。
「クロスカントリー」とは、自動車関連の方向性で解釈すると
- 整備されていないところや山道などを走ること
- 整備されていないところや山道を使って行うモータースポーツ
のことを言います。
一方、車のカテゴリーとしての「クロスカントリー」や「クロスカントリー4WD」は悪路を走るために作られた車、オフロードを走るために作られた4WDモデルのことを指します。
もっと厳密に言うと搭載されている4WDシステムがスタンバイ式の生活四駆や前後トルク配分が可変式のスポーツ4WDなどではなく、オフロードを走るために作られているパートタイム4WDシステムかそれをベースとしたデフロック機構付きのセンターデフ、トランスファーを持ったフルタイム4WDシステムを搭載した4WDモデルのことを言います。
それに該当するは
「クロスカントリー4WD」
だけで、それ以外のアウトドアスポーツを楽しむための「SUV」やその妥協策モデルとして作られた「クロスオーバーSUV」、SUVでも何でもないクロスオーバーSUV風ワゴン車である「なんちゃってクロスオーバーSUV」は含まれません。
「4WD車」という言葉の本当の概念

左上:ダットサントラック4WD 右上:テラノ 左下:ハイラックス4WD 右下:ハイラックスサーフ
「4WD車」という呼び方はあまり最近では使われなくなりましたが昔はよく使われていました。
過去に日本でダットサントラック4WDやハイラックス4WD、テラノ、ハイラックスサーフなどといったパートタイム4WD搭載モデルが初めて流行った時に、本来であればそれらの車のことを「ピックアップトラック」や「SUV」と呼ぶべきだったのですが、「ピックアップトラック」という言葉はあまりなじみがなく、「SUV」という言葉は日本にまだなかった言葉だったことからそれらの呼び方の代わりとして、パートタイム4WDシステムを持ったオフロード志向の車のことを「4WD車」などと呼んでいました。
当時は、今のように乗用モデルに4WDシステム(スタンバイ4WDやスポーツ4WDなども含む)を搭載したものは非常に珍しく、
「四輪駆動の車=オフロード志向のピックアップトラックやSUV」
といった形で特別の車として捉えられていて、そしてそれらのモデルをFF駆動やFR駆動などといった普通の乗用車と分けて考えるためにあえて「4WD車」という言葉を使うようになったのです。
そこからひも解くと「4WD車」の概念がよくわかります。
「4WD車」という言葉が使われ始めた頃にそう呼ばれていた車、いわゆる・・・
・パートタイム4WDを搭載したピックアップトラック
・パートタイム4WDを搭載したSUV
か、SUVの格上モデル的な位置にいる・・・
クロスカントリー4WD
が「4WD車」であるということです。
・ピックアップトラックの4WDモデル
・SUVの4WDモデル
・クロスカントリー4WD
のこと
まとめ〜「オフロード車」「クロカン」「4WD車」は一般向けの俗称
ここまで見てきた「オフロード車」「クロカン」「4WD車」の本当の意味。
いかがでしょう、冒頭で確認しておいた現在の一般的な使われ方と比較して両者に違いがあるのがお分かりいただけたでしょうか。
そして「オフロード車」「クロカン」「4WD車」という言葉が正式なカテゴリー名、分類名、呼び方ではないということもお分かりいただけたでしょうか。
どうしてこれらの言葉がこのように間違って使われるようになったのか、さも正式な名称であるかのように使われるようになったのかといいますとその答えは・・・
からです。
車に対して知識が豊富な方であれば、このような曖昧な言葉を使わずに、明確に「クロスカントリー4WD」とか「ピックアップトラック」「クロスオーバーSUV」という言葉を使ったり、聞いたりしてもきちんと理解できることができます。
しかし、「自動車は単なる移動手段」「売られているものを買って乗っているだけ」「車に全く興味がない」という方にしてみれば、そもそも「SUVってなんだ?」「4WDに何の意味があるの?」「ピックアップトラックって荷物を運ぶトラックのことでしょ」といった程度にしか理解できず、そういう方に対して自動車メーカーや販売店が車を売り込んだり、メディアが車の説明をしようとして、正式な呼び方で表現しても全く効果が出ないのです。
中国人に日本のモラルを説明しても全く理解できないのと同じです。
それなら曖昧で多少語弊がある言葉でも直感的、感覚的に理解してくれるような言葉を使って話をしたり、文章を書いた方が効果的でしょう・・・ということでいわゆる都合のいい俗称として「オフロード車」「クロカン」「4WD車」という言葉を使うようになったわけです。
このパーツが似合うのが本当の「クロカン」や「オフロード車」だ!
やれ「オフロード車」「クロカン」「4WD車」などといっても結局は舗装路の上しか走らない方がほとんどだと思いますが、本格的なオフロード走行やクロスカントリー走行をしないとしてもせめてリフトアップをしてそれらしい悪路走破性の向上やドレスアップをしておきたいものです。
逆にいえば、そういった足回りのチューンやドレスアップができない車、あるいはしても全く意味がない車、似合わない車は「オフロード車」「クロカン」「4WD車」ではないということも言えるのかもしれません。
もしあなたの愛車がジムニーやジムニー・シエラ、ランドクルーザー、ランドクルーザー・プラド、FJクルーザー、ビーゴ、ラッシュだったら、ここでご紹介するようなパーツをつけて、バリバリの「オフロード車」「クロカン」「4WD車」を作り上げてみてはいかがでしょうか?
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