その車、RVではありませんよ!

その車、RVではありませんよ!
「RV」の解釈を間違えている某自動車情報サイト

「RV」の解釈を間違えている某自動車情報サイト

ある日、自動車関連Webサイトをあちこち見ている時にこのようなWebページを見つけました。

RV」・・・何とも懐かしい言い回しではありませんか。
しかし、「RV」と書かれているWebページを見てみるとどうやらRV」という言葉の意味合いを間違って解釈して、それをさも正しい言葉として使っているようですね。


「これは恥ずかしい・・・」
と思うのと同時に
「間違った解釈がこれ以上広がってはいけない!」
ということで、ここで本当の「RV」という言葉の意味、そして「RV」と呼んで良い車を明確にしておきましょう。

「RV」ってなんのこと?

まず「RV」という言葉の意味を探ってみましょう。

RV」とは・・・

「Recreational Vehicle(レクリエーショナル ヴィークル)」

の略です。

Recreational Vehicle」の「Recreational」の部分だけを日本語に略すと・・・

  • 「楽しみを得るための〜」
  • 「娯楽の〜」
  • 「気晴らしの〜」
  • 「休養の〜」

という意味となりますが、「RV」を説明するのに用いられる訳は

「休養の〜」

がわかりやすいでしょう。
一方、「Recreational Vehicle」の「Vehicle」は・・・

「車両」

といった意味合いですので、「Recreational Vehicle」を直訳すると・・・

「休養の車両」

ということになり、日本語的に言い換えると・・・

「休養・休暇を取るための車」

ということになります。

果たして「休養・休暇を取るための車」とは何でしょうか?・・・実は「キャンピングカー」などのようなベッド(寝台)が付いた車のことを指すのです。

RVのベッド

RVのベッド

「RV」の語源

RV」という言葉は、日本と違って長期休暇を頻繁に取ることが当たり前の国、アメリカで生まれました。

アメリカ人は長期休暇の取り方、時間の使い方が非常に上手で、日本人のように「混雑する時期」「混雑する場所」に集中して出かけて、休みなのに休めていないという休暇を取るのではなく、空いている時期や空いている場所を選んで本当の意味での休暇を取る傾向があります。

その休暇の取り方のひとつとして、リゾートホテルや別荘といったいわゆる宿泊施設に宿泊するのではなく、好きなところで寝泊まりできるキャンピングカーやモーターホーム、トレーラーホーム(トレーラーハウス)などを購入し、そこで宿泊するだけでなくキャンプ生活を楽しむという方法を取る場合があるのです・・・いわゆる「オートキャンプ」と呼ばれる方法です。

アメリカ人の休暇の取り方のひとつ、オートキャンプ

アメリカ人の休暇の取り方のひとつ、オートキャンプ

実はそのオートキャンプで使う「キャンピングカー」「モーターホーム」「トレーラーホームトレーラーハウス)」などの寝泊まりできる車両のことをアメリカでは「休養・休暇を取るための車」「RV」と呼んでいたのです。

「RV」=キャンピングカー・モーターホーム・トレーラーホーム(トレーラーハウス)

これが「RV」という言葉の本当の意味です。

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本当のRVのいろいろ

日本における「RV」の解釈

本国アメリカでは、寝泊まりできる車、「キャンピングカー」「モーターホーム」「トレーラーホームトレーラーハウス)」などを「RV」というのに対して日本はどうなのかといいますと、確かに・・・

  • キャンピングカー
  • モーターホーム
  • トレーラーホーム
  • トレーラーハウス

といった本来「RV」と呼ばれるべき車も当然ながらそう呼ばれています。
がしかし、それよりももっと頻繁に一般的に「RV」に属する車として取り上げられるものがあるのです。
以下のようなカテゴリーの車たちがそれです。

  • ワンボックスカー(ワゴン・バン)
  • ピックアップトラック
  • SUV
  • クロスカントリー4WDモデル
  • ステーションワゴン

最近では・・・

  • ミニバン
  • クロスオーバーSUV

などもそう呼ばれることことがあるようです。

どうやら「RV」発祥の地であるアメリカにおける解釈と日本での解釈は大きく違うようですね。

同じ言葉なのにその言葉に該当する車がこれだけ違うのはどうしてでしょうか?
実は原因は解明されています・・・「RV」という言葉が日本で使われるようになった当時の人間が英単語を取り違えてしまっただけのことだったのです。

それは「RV」の「R」を・・・

「Recreational(レクリエーショナル):休養・休暇」

と正しくと捉えたのではなく・・・

「Recreation(レクリエーション):余暇・娯楽」

と間違って捉えてしまったのです。

要するに・・・

「休養・休暇を取るための車」

ではなく・・・

「余暇を楽しむための車」
「娯楽としての車」

と解釈をしてしまったということです。

それならなんとなく理解できます・・・

  • ワンボックスカー(ワゴン・バン)
  • ピックアップトラック
  • SUV
  • クロスカントリー4WDモデル
  • ステーションワゴン
  • ミニバン
  • クロスオーバーSUV

などといった車が「RV」と呼ばれてしまうのが・・・。

確かにどの車も遊びや買い物などに行く時に使いますので、「余暇を楽しむための車」「娯楽としての車」と見られてもおかしくありません。
どうやら日本では「キャンピングカー」などといった車よりも「SUV」に近いもの(※SUVはアウトドアスポーツだけが対象だが・・・)と解釈されてしまっているようですね。

間違いを生み出したのは日本の「RVブーム」が原因

RV」を間違って解釈するようになった原因が実は過去にあった「RVブーム」にあることがわかっています。

間違ったRVブームに影響された車たち

間違ったRVブームに影響された車たち

時期的には1970年代後半からバブル景気が終わるころ1990年初頭あたりまででしょうか。
ご存知の通り、その頃日本は景気が良く、日常的なものよりもレジャーや非現実的なことにお金をたくさん使うようになっていきました。
その1つの傾向として、それまでもよく売れていた実用的なセダンステーションワゴン、ファッショナブルなクーペといったいわゆる一般的に「乗用車」と呼ばれていた車に加えて、実用的ではない車や遊びに的を絞った車を買うことが多くなり、自動車メーカーもそういった類の車が良く売れていることを知ったことからそういった車をたくさん作り、売るようになっていったのです。

それが日産のダットサントラック4WDやトヨタのハイラックス4WDといった4WDのピックアップトラックであったり、日産のテラノハイラックスサーフといった今でいうところのSUVといったジャンルの車であったり、ワンボックスワゴンステーションワゴンであったりするわけです。
それらの車を「レジャー用の車」「遊びのための車」としてみる中で、アメリカのRV」に近い車と勘違い※全く意味合いは違いますが当時の人はそう思ったのでしょう)してしまい、本来ならば「RV」に属さない車のことを日本では「RV」と呼ぶようになってしまったのです。

「RV」ではないのに「RV」と呼ばれる車がたくさん売れた・・・これが「RVブーム」の実態です。

当時は「RV」とされていたピックアップトラックやSUV

当時は「RV」とされていたピックアップトラックやSUV

これがのちに本当のSUVクロスカントリー4WDモデルに波及し、そして昨今のクロスオーバーSUVブームによって注目を浴びようになったクロスオーバーSUVにも及んでしまったことからこれらのモデルも「RV」に含まれる車と間違った解釈がされるようになったのです。

ミニバンが「RV」に含まれた理由はバニングにある

日本で「RVブーム」が巻き起こっていた時代にそのブームのひとつの系統として「バニング」というものがありました。

「VAN(バン)」+「ing(動詞的な意味合い)」=「Vanning(バニング)」

という形で作られた和製英語なのですが、これはワンボックスワゴンやワンボックスバンをドレスアップする方法、あるいはドレスアップする系統を意味する言葉として使われています。

バニングももともとはアメリカに端を発するもので、アメリカの若年層の中でピックアップトラックをドレスアップすることが流行り、それがバンをドレスアップするという方向にも広がっていったことで始まりました。

特にバンはキャビンが広いのでいろいろな面で自由度があり、エクステリアのドレスアップだけでなく、インテリアの装飾やAV機器の増設、照明器具の設置、ソファーベッドの取り付け、カーペットの貼り付けなどまるで自宅のリビングづくりをするようなことに発展していったわけです。

「バニング」の元祖であるアメリカのドレスアップされたピックアップトラックとシェビーバン

「バニング」の元祖であるアメリカのドレスアップされたピックアップトラックとシェビーバン

ちなみにアメリカでいうところの「バン」は、日本でいうところの商用車、商用バンだけに絞ったものではなく、ワンボックス形状や1.5ボックス形状のボディを持つ車のことを指し、乗用・商用は問いません。(詳しくは別ページ「日本のバンとアメリカのバン」を参照)

こういった傾向がアメリカで流行っていたころに、当時の日本の若年層たちによって日本のドレスアップカー界にバンをドレスアップする、インテリアを改装するといった風潮が持ち込まれ、そこで若年層にありがちな低レベルな和製英語である「バニング」という言葉が生まれたのです。

さて、このバニングが「RV」とミニバンとの関係にどうかかわっているのかといいますとそれは日本のミニバンの前身がワンボックスカーであるからです。

先程も申し上げた通り、日本ではバニングと称してワンボックスカーをドレスアップする傾向があり、特に保安基準が厳しいことからエクステリアよりインテリアのドレスアップに凝る傾向がありました。
インテリアのドレスアップ方法のひとつに標準装備のシートをすべて取っ払って、オーダーメイドでつくったソファーベッド、通常はソファーとして使い、背もたれなどを取り外して付け替えることでフルフラットのクッションの効いたベッドをキャビン一面に作ることができるようにしたものもありました。

実はそれがいわゆるキャンピングカーと同じように寝台として使えるといったことから、誤ってキャンピングカーと同じ扱いをしてしまい・・・

「バニングをしたワンボックスカー」=「キャンピングカー」

となり、そして・・・

「キャンピングカー」=「RV」

そして更に・・・

「バニングをしたワンボックスカー」=「RV」

と理解され、「RV」に属する1台と勘違いされてしまったのです。

そして国産ミニバンのほとんどはワンボックスカーの後継モデルとして存在していることから・・・

「ワンボックスカーがRVなら、その後継モデルもRVであろう」

といった形でミニバンも「RV」の一員であると間違った解釈がされるようになってしまいました。

まとめ〜国産車に「RV」と呼べるモデルはほとんどない

ここまで「RV」という言葉の意味合いやそれに該当する車がどういうものであるかということをご説明してきましたが、ではここで再確認を含めて国産車のカテゴリーにおいてどれが「RV」と呼ぶべきものなのかを見ておきましょう。

カテゴリー RV?RVじゃない?
ワンボックスワゴン(バニングも含む) ×RVじゃない
ワンボックスバン(バニングも含む) ×RVじゃない
ピックアップトラック ×RVじゃない
SUV ×RVじゃない
クロスオーバーSUV ×RVじゃない
クロスカントリー4WDモデル ×RVじゃない
ステーションワゴン ×RVじゃない
ミニバン ×RVじゃない
キャンピングカー(に改造した車両) ○RVです
モーターホーム(に改造した車両) ○RVです
トレーラーホーム ○RVです
トレーラーハウス ○RVです

こうしてみると国産車で一般的に市販されているモデルにはRVに該当するものが存在しないことがわかります。

早い話、よく「RV」とされているランドクルーザーもFJクルーザーもアルファードもC-HRもハリアーもハイエースも全部「RV」ではないということです。
そもそもこの狭い国土しか持たない日本において「RV」と称される車は基本的には必要ないため、自動車文化としての発展も見られないことからアメリカのように普通に買うことができないのも当然かもしれません。

RVじゃないといわれてもそう簡単に買い替えるわけにいかないし・・・

きっとこう思う方もいることでしょう。
しかし、本当にミニバンやワンボックスカー、SUV、クロスカントリー4WDなどはRVじゃないのですから仕方ありません。

でも、だからといってそれらの車でキャンプや車中泊ができないわけではありませんので、ちょっと不自由を感じるとは思いますが我慢をしてキャンプを楽しんでみたらいかがでしょうか?

「とはいっても、RVじゃない車をRVだと思い込んでその車でキャンプに来ていると思われるのもかなり痛い」

確かにこれはいただけません。トラウマとして残るぐらい恥ずかしくて辛いことです・・・ならばとりあえず今回はRVを借りてみたらどうでしょうか。
実は普通のレンタカーのようにRV(キャンピングカー)を借りることができるのです。

ここでRVを借りたらあとは道具の用意です。
ある程度の道具はRVと一緒に借りることができますが、どうせなら道具ぐらい自分専用のものを用意しておきたいものです。

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執筆者・管理者

  • カー・エクスポーザー
  • 自動車酷論家
  • 自動車評論家@ダークサイド

発言に対する制限が掛かるのを嫌うため現在はどの団体にも属さないフリーとして活動。
Webサイト用記事、ゴーストライターとしての記事などを多数執筆

いわゆる自動車評論家やモータージャーナリストなどが忖度などの理由からはっきり言えないことをズバズバと発言し、自動車業界の裏の真実を暴露する。
また、自動車メーカーやメディアが何らかの理由で公言していることによって生まれた間違った風潮・知識、言葉の使い方、言葉の解釈に苦言を呈する。

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